E級日記

もんがぁ のE級的生活の記録です

東京諸々点描

久しぶりに東京へ行ってきました。やはり東京は面白いですね。私もかって横浜に10年ほど住んでいて、東京を知らないわけではないですが、一旦離れてしまうと浦島現象というか、広島とは変化の速度が違うなあと思います。それは街を歩く人の多さと歩く早さからも感じますね。今回いろいろと歩き回って、地下鉄には10回以上乗り降りしましたが、歩く距離が広島とは全然違う。1日10〜15kmくらい歩いているでしょう、階段の上り下りも多いしね。都会人は足腰が弱いというのは多分大嘘で、足腰が丈夫でないと東京には住めないでしょう(笑)。


■浅草雷門前からスカイツリーを望む
雷門は大提燈を修理中ということで、代わりに提燈の絵を描いた幕が下がっていました。これは締まりのない図だなあ(笑)。仲見世、浅草寺を歩くと大変な観光客ですが、半数は外人です。日本人らしき人の多くは実は中国・台湾人で、自分がどこの国にいるのか分からなくなりますね。いま円安で日本旅行ブームというのは確かみたいです。


■どじょう鍋
浅草には食べたいものがたくさんありますね。蕎麦の「並木藪」は行列ですが、それを横目で眺めながら私達が向かったのはこちら、創業210年の老舗「駒形どぜう」です。翻ってみると、私自身この店に来るのは約30年ぶりですねえ。

入れ込み座敷のこの雰囲気がなんとも言えず良いものですねえ。

どじょう鍋です。丸のどじょうを鉄鍋に並べて出汁を注いで、炭火で煮ながら頂きます。たっぷりのネギは必須、熱々のやつに山椒や七味を振ってふうふう言いながら食べるのがいいですね。


こちらは柳川鍋です。どじょうとゴボウの相性は最高。やはり、どじょう料理の王道です。

私達はとても美味しく頂いたのですが、この後「神田まつや」で偶々同席した江戸っ子の男性は「最近のどじょうはダメになった」と嘆いていましたね。確かに築地市場を見て回った時も、どじょうは中国産ばかりでした。日本産のどじょうは本当に少なくなったんだなあ。残念ですね、しかしこの店のどじょう鍋は十分に往時の味を伝えていると思うのですが。
駒形とぜう本店 東京都台東区駒形 1-7-12


■秋葉原電気街
両国の江戸東京博物館を見物したあと秋葉原へ移動、電気街をスルー見しました。オタクのメッカということで、それっぽい人が歩いているなあ(笑)。私達は万世橋を渡って神田方面へ歩きます。


■江戸の味 神田辺り
神田須田町のこの一画は古い東京の佇まいを感じさせる店が点在しています。この「まつや」の裏には鳥鍋の「ぼたん」、あんこう鍋の「いせ源」とか、池波正太郎のエッセイにも登場した名店が集まっています。

夕方の店内は客で満員、当然相席になります。私達が相席させてもらったのは同年輩のご夫婦でした。ご主人は話好きな方らしく、色々とお話をさせて頂いたのですが、その時に"どじょう"の話も出ました。築地の方にお住まいで蕎麦が大好きとのこと、東京には良い蕎麦屋が多いので羨ましいですね。

まずは日本酒をぬる燗で、お酒を頼むと"そば味噌"が付いてきます。酒の肴は"いたわさ"、"湯葉わさ"など。蕎麦屋では酔っぱらうほどは飲まないのがきまりですね。

"鴨南蛮"は酒の肴にもなりますね。鴨肉やネギも旨いですが、鴨から良い出汁が出ているので汁だけでも肴になります。

締めは"もりそば"です。お酒の進み具合を見ながら、蕎麦を出す頃合いを見計らってくれているみたいです。こういう心遣いも名店ならではという感じですね。こういう店で、客の少ない時間帯にのんびりと昼酒とかできたら最高でしょうね。

神田まつや 東京都千代田区神田須田町1-13

蕎麦を食べ終わって、まだちょっとお腹に余裕があります。ということで、「まつや」の裏にある甘味処の「竹むら」に入りました。この界隈は戦災を免れたということで、竹むらの店舗は木造の3階建て、趣のある建物ですね。

席に座るとまず最初に桜茶が出ています。私たちはこの店の名物のひとつ"あわぜんざい"を注文しました。ぜんざいというのは西と東で違うみたいですが、ここのはこし餡の上に煮小豆がのっています。紫蘇の実の佃煮が添えられています。餡の味もただ甘いだけでなくて塩分も多めで、それが甘さを引き締めている感じかな。

粟のぷちぷちした食感が残ったお餅が美味しいです。ポイントは塩気で、桜茶や紫蘇の実も含めて、口甘ったるくならずちょうどよい具合になっていますね。これが老舗の味ということなのでしょう。

竹むら 東京都千代田区神田須田町1-19


■東京青空散歩
新しくなった東京駅の駅舎、戦災で焼失した部分を仮に修復していたのを今回創建当時の姿に再建したとのこと。煉瓦も落ち着いた色合いで、思った以上に渋い外観です。近代的な丸の内ビル街との対比が面白い、こういうふうに古いものと新しいものが同居しているのが東京の魅力ですね。

この日は、四谷から紀尾井町、赤坂、青山辺りを散策しました。神宮外苑の銀杏並木の色づきはまだちょっと早いですが、いまの時季は「いちょう祭り」というのをやっていて、全国各地のグルメを集めた模擬店も開いていて賑やかでした。神宮球場では明治神宮野球大会、秩父宮ラグビー場では東日本トップクラブリーグ決勝戦(帝京vs明治)をやっていたりで、外苑周辺は人で溢れていましたね。


■歌舞伎観劇
新しくなった歌舞伎座、今回の東京旅行の一番の目的は歌舞伎を観る事でした。11月は吉例顔見世大歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」です。チケットはネットで予約したのですが、一般販売が始まった日は10:00の受付開始から約30分でほぼ売り切れの状態。たまたまその日が土曜日だったので私も開始時間を待ち構えていて、何とか席を取ることができました。前の方の良い席は関係者とかプレミア会員が予め押さえているようで、前から16列目の席でした。

幕が上がるまでは館内の撮影は自由とのことなので、歩き回って写真撮影。かっての歌舞伎座を知らないので比較はできませんが、席もゆったりとして綺麗な劇場です。収容人数は約2000人とのこと。予約の時には前の方は満員だったはずなのですが、実際には空席もちらほらあります。旅行会社等がまとめて押さえて売れなかった席とかがあるのかなあ。歌舞伎鑑賞といえばそれなりの恰好でないといけないか?と思い、取りあえずホテルでマシな服に着替えて行ったのですが、全然そんなことはなかったですね。確かに和服で着飾った女性とかもいますが、ほとんどの人は普通の恰好で、特に服装を気にする必要はないようです。
興業はお馴染みの「仮名手本忠臣蔵」、昼夜二部の通し狂言です。私達は夜の部を観たので、五段目・六段目(おかる・勘平)、七段目(祇園一力茶屋)、十一段目(討ち入り)でした。主な配役は早野勘平が尾上菊五郎、大星由良之助が中村吉衛門です。私は吉衛門のファンなので、実物の吉衛門が見れるのが楽しみです。


16:30に開演して21:00まで、4時間半の長丁場です。途中30分ほど休憩時間があって、その間に食事をとるのですが、館内の食堂は混むし時間が足りないと聞いていたので、私達は予め日本橋三越で弁当を買って行きました。しかし歌舞伎を観て気分が高揚していたためか、食べる気にならず、結局その弁当はホテルに帰って食べることになりました(笑)。

初めて見た歌舞伎でしたが、やはり良かったですねえ。前から16列目だったので舞台はよく見えましたが、それでも役者の細かい表情までは分かりません。次に行く時には双眼鏡が必須ですね。それと思ったのは、歌舞伎見物は体力が要るなあということ。幕前から合計すると5時間以上も劇場にいるわけですから結構大変です。取りあえず気力・体力を整えて行かないと楽しめませんね(笑)。


■日本橋界隈
お江戸日本橋七つ発ち♪、、なぜ日本橋が江戸の旅の起点なのか?不思議に思ったことはありませんか。現在の東京の街の中心からは東に寄り過ぎているように感じるのですが、昔の江戸の町人町は日本橋から東〜北側にかけて広がっていたと聞けば納得です。

兜町にある東京証券取引所、ここは見学コースがあって誰でも中を見ることができます。入口で手荷物検査を受けて館内に入りますが、ここでも外国人が多いですね。以前は株取引の立会場として多くの人でごった返していたのでしょうが、コンピュータ取引となった現在では人影もまばらで静かです。

これはTVでよく見る光景、東証Arrowsのマーケットセンターです。ガラスで囲まれた室中には数名の担当者が見えますが、ここではマーケット監理業務(マーケットに不審な動きがないかを監視)を行っているとのこと。なにしろ物音一つせず静かなのですが、こうしている間にもサイバー空間では膨大な情報と金が行きかっているのだろうなあ、、とちょっと恐ろしくなりますね。


■江戸前の鮨
せっかく東京に来たのだから江戸前の美味しい鮨が食べたい、ということでやって来たのが人形町の「き寿司」。伝統的な江戸前のまっとうな鮨を出す店として有名です。電話で予約を入れておいたので、すっと入れました。

お昼の特上にぎりは一人前3,650円、名店なのにお手頃な値段ですね。白身から始まって、大間のマグロ、エビ、イカ、イクラ、煮アナゴ、玉子焼き、鉄火巻など。どれも美味しいです。酢飯は酢と塩だけで砂糖が入らない江戸前のシャリです。煮アナゴは沢煮でその上にツメが塗ってあります。玉子焼きにはオボロが挟んであったり、このあたりが江戸前の仕事なのでしょう。

電話で予約した名前を憶えて名前で呼んでくれたり、心遣いも嬉しい。とても気持ちよく食事をすることができました。こういう客あしらいも名店の条件なのでしょうね。
き寿司 東京都中央区日本橋人形町2-7-13 ("き"は七3つの旧字体)