E級日記

もんがぁ のE級的生活の記録です

如月の京都 散策(その1)

2月の静かな京都に行って来ました。今回の旅行は南座で上演される「市川海老蔵 特別公演」を観るのが第一の目的でした。正月明けにチケットを購入した時には、新型コロナウイルスについて、まだそれほど大きな騒ぎになっていませんでした。その後、感染が拡大して、中国が団体ツアー禁止などの措置を取ったため、いつもであれば観光客でごった返している京都が、いまガラ空きになってます。こんなに静かな京都を見るのは何十年ぶりだろう。

初日は昼前に京都に着いて、まずは宿泊先のホテルに荷物を預けてから出掛けます。
中京の街中を昼食をとる店へとぶらぶら歩いて、途中「六角堂」に立ち寄りました。ここは京都の”へそ”と言われる場所です。名前のとおり本堂は六角形をしています。

これが”へそ石”です。近世の京は平安京往時の地割ほど広い範囲に亘っておらず、町家は上京と下京に分れており、重心的にここが京のへそに当る地点だったからということです。

六角堂 京都市中京区堂之前町248
www.ikenobo.jp


昼飯はこちら「晦庵河道屋」へやって来ました。創業300年、元禄年間創業の老舗蕎麦店です。幕末の志士も通ったし、近年ではあのスティーブ・ジョブズも通ったという名店です。

私たちは小上がりに座りました。座卓が低くてちょっと窮屈、これは昔の日本人に合わせたサイズなのでしょうね。壁や柱、調度品も古びて落ち着いた雰囲気の店内です。

私は有名な”おろしそば”と季節のご飯を注文しました。本日のご飯はタケノコ飯です。2月にタケノコ、早いですね、季節の先取りです。”おろしそば”には洛北鷹ヶ峰で栽培される辛味大根が使われています。これは「美味しんぼ」で紹介されてますね。辛味大根は水気が少なくて爽やかな辛味、そばの旨味を引き立てます。

家内は”志っぽく”と季節のご飯。”しっぽく”は京都独特のうどん(そば)のメニューで、うどんとそばの両方があります。具としては椎茸、蒲鉾、湯葉、ほうれん草など。具沢山で出汁が美味いし、身体が温まりますね。

伝統ある建物で店の雰囲気を味わいながら、美味しいそばを味わいます。京の昼下がり、ゆっくり出来て最高の昼飯でした。

晦庵河道屋 本店 京都市中京区麩屋町通三条上ル下白山町295
www.kawamichiya.co.jp


その後は五条坂に移動し、「河井寛次郎記念館」を訪れました。ここは陶芸家、河井寛次郎の住居兼工房をそのまま記念館として保存・公開したものです。

邸内は奥に広く、中庭を挟んで住居と仕事場、窯場が廊下で結ばれています。

こちらが寛次郎の作業場です。お弟子さんと一緒に、ろくろを使った整形、絵付けなどの作業をここで行っていたのですね。

一番奥には登り窯があります、大きくて立派です。寛次郎は一番手前の焼成室(房)を専ら使っていたそうですが、窯焚きの時は凄い迫力だったろうと思います。

住居の方はこんな感じ。寛次郎と家族、お弟子さんなど、大勢が暮らしていたそうです。家具なども当時のまま、寛次郎が実際に使っていた書机なども置いてあって、興味深いです。


河井寛次郎は「日用の美」を追求した民藝運動を主導した陶芸家です。実際に寛次郎の作品を見ると、創作時期によっても異なるのでしょうが、日用品というより美術品として秀逸なものが多いですね。力強くて存在感のある作品が持ち味だと思います。小品でも良いので、私もいつか寛次郎の作品を一つくらいは手に入れたいものです。

河井寛次郎記念館 京都市東山区五条坂鐘鋳町569
www.kanjiro.jp


河井寛次郎記念館を出てから、歩いて六波羅密寺へやって来ました。

この寺は踊り念仏で知られる空也上人の開基、紆余曲折を経て現在は真言宗の寺になっています。本堂ではなにか御祈祷をしているようですね。

本堂の裏に宝物館があって、有名な「空也上人立像」や「平清盛坐像」などが公開されてます。教科書では見たことありますが、実物を見るのは初めて。中々良かったです。

六波羅密寺 京都市東山区 大和大路上ル東
rokuhara.or.jp


東山をぶらぶらと散策、八坂通りを登っていきます。いつもであれば観光客でごった返している道が、この日はガラ空きです。欧米人はそこそこ居ますが、明らかに中国人観光客が少ないですね。歩きやすくて助かるのですが、こういう状態が続くようだと、観光業に関わる人が多い京都にとって困ったことになるのでは。

散策の途中にこちらの店に立ち寄りました。煎りゴマなどを購入、家内が以前から気になっていた店だそうです。ゴマの専門店というのは珍しいですね。

祇園むら田 京都市東山区祇園下河原通下河原町478
www.gion-murata.co.jp

歩き疲れたのでちょっと休憩です。「鍵善」は享保年間創業の京菓子の老舗、こちらはその支店になります。喫茶室が併設されていて、お茶とお菓子を頂くことができます。

”きび餅ぜんざい”を頂きました。上品な甘さ、それに塩昆布が添えられているところが憎いです。疲れた身体が和みました。

鍵善良房 高台寺店 京都府京都市東山区下河原町471
www.kagizen.co.jp


初日の晩飯はこちら、京の町屋フレンチ「ア・プ・プレ」。
下京の町家の中にある本当に分かり難い場所です。googleマップを頼りに店を探しましたが、看板も明確でないため、一度は店の前を通り過ぎて迷ってしまいました。

この店のシェフは女性で、ミシュラン関西版のビフグルマンを獲得しています。
私達はディナーコース(5,000円)を注文しました。コースの内容は、アミューズ、前菜二品、スープ、主菜一品、デザートという構成です。前菜は3品の中から、主菜は4品の中から、デザートは3品の中から選べるので、私達はいつものように別の物を頼んで、二人でシェアします。食べたものは以下の通り。

アミューズ(グジェール、丹波鹿のパテ)

サーモンマリネのサラダのフィユテ、シェーヴルの香り

フォアグラのフランとダイコンのブレゼ

近江カブラと菜の花のポタージュ

白身魚と帆立のポアレ・ブールブランソース

仔羊背肉のロティ・金柑のコンポート、新タマネギのステーキ添え

苺のミルフィーユ

料理はどれも美味しかったです。この料理でこの値段、ビフグルマン獲得も納得でした。
ア・プ・プレ 京都市下京区的場通新町東入ル
apeupres.com