E級日記

もんがぁ のE級的生活の記録です

奥琵琶湖・余呉の旅

旅行二日目は、丹後半島を離れて若狭湾を巡り、湖北へとやって来ました。
琵琶湖の北にある余呉湖は、周囲6kmほどの小さな湖です。琵琶湖八珍と呼ばれる各種の淡水魚が獲れ、冬には水鳥も飛来するとのこと。青い湖面が美しいですね。

対岸に見える山並みは、琵琶湖と余呉湖の間に聳える賤ケ岳です。天正11年(1583年)、羽柴秀吉と柴田勝家の間で行われた賤ケ岳の戦いは、この余呉湖の周辺が舞台でした。


■徳山鮓(とくやまずし)
本日の泊りはこちら。余呉湖畔にある集落の中、車一台がやっと通れる狭い道を辿って行くと見つかりました。家内が是非来てみたいと希望した、今回の旅行の一番の目的地、ここがあの有名な店なんですね、、ちょっと緊張します。

大きく開いた窓、ウッドテラスからは余呉湖が見渡せて気持ちよいです。

「徳山鮓」は完全予約制で、昼食での利用と宿泊も可能です。食事が出来る部屋は3部屋で、宿泊の方は1日4組(10名まで)とのことです。

この店の食材は全て地産地消のものです。湖や山の幸に恵まれたこの地、ご主人は自ら山菜や茸を採り、湖で天然の鰻、ナマズ、ワカサギなどを獲っておられるとのこと。猪、鹿、熊などは地元の猟師が仕留めたものを分けてもらうそうですが、処理はご自分でされるようで、熊の皮を剥ぐのは10時間くらいかかるとのことです。
この店の名前にある"鮓"とは、塩漬けした魚と飯を乳酸発酵させたもので、現在の鮨の原型になるもの。産卵前のニゴロブナを使った"鮒鮓(ふなずし)"は琵琶湖の名産ですね。ご主人はこの"鮓"に魅せられたそうで、いろいろな手作りの発酵料理が供されます。

【夕食】
前菜の盛り合わせの一皿。琵琶マスの卵、山椒で煮た枝豆、卵のワサビ漬、マスの松風、コリンキー(カボチャの一種)の銀杏形、スッポンの煮凝り、焼き万願寺唐辛子、発酵ウズラ玉子、マス鮓のはさみ揚げ。どれも美味しくて、いきなり驚きます。

日本酒は"紫霞の湖"、徳山鮓が木之本町の「七本鎗」の蔵元に特注している、この店のオリジナルブランドだそうです。すっきりして旨い酒です。

"ビワマスの子まぶし"、細切りのビワマスの身に鮒の卵をまぶしてあります。

"飯蒸し"、もち米の上に鰻をのせて蒸し上げて、針生姜を添えてあります。

"鯖の熟れ鮓"、ご飯と一緒に発酵させた塩漬けの鯖でとクリームチーズを巻いて、トマトソースを添えます。熟れ鮓とチーズはともに発酵食品なので相性は抜群ですね。

地物の鰻を蒲焼にして、その上に実山椒をのせてあります。鰻は脂が控えめで身はしっかり、上質のアナゴに近い感じかな。

ジビエもこの店の楽しみのひとつですね。オオモミタケ、鹿の生ハム、熊・鹿・猪のテリーヌ、鮒鮓の飯、鰻の燻製、コリンキー(カボチャの一種)など。

発酵カラスミ、鮒鮓には山椒と蜂蜜のソースが掛けてあります。鮒鮓は徳山鮓の真骨頂と言われますが、確かにそうですね。臭いはそれほど強くなく、純粋に発酵したタンパク質の旨味が感じられます。さすがに、これは美味いなあ、、

締めは、コウタケの炊き込み飯それに香の物。すっかり満腹になりました。

デザートは鮒鮓の飯を混ぜた発酵アイスです。

う~む、今宵食べたものを、どう表現すればよいのだろう。全ての食材が自己調達であり、自然で良質。そして、食材を発酵させて調理する技術が素晴らしいですね。60過ぎまで生きてきて、これまで色々なものを食べましたが、こういうものを食べたのは初めてです。
食事の途中にご主人が席に来られたので、少しお話ししました。今回は家内の記念日だと言うと、お祝いに「七本槍」の別の酒をプレゼントして下さいました。それを頂いたので、最後はかなりよいよい状態。しかし、全てが美味しい一夜でしたね。

【朝食】
一夜明けて、朝の光が余呉湖の湖面に反射してキラキラと美しいです。

朝食は窓際の席で頂きます。鮎の一夜干し、氷魚(鮎の幼魚)の鍋、鹿肉の煮凝り、稚鮎の佃煮、うろり(ゴリの幼魚)佃煮など。本当に全て美味しくて、満足の食事でした。

期待通りの宿と食事、さすがだと思いました。ここでは四季に応じて食材が変わるとのこと。それでは別の季節にも来なくては、、ということで、帰る時に来春の予約をしました。こういうことも初めてなのですが、次回の訪問が本当に楽しみです。

徳山鮓 滋賀県長浜市余呉町川並1408
徳山鮓のホームページ


■木之本宿
「徳山鮓」を出立し、近くの木之本町へ立ち寄りました。ここは、かつて北国街道の宿場町だったところで、伝統的な町家が点在する町並みに往時の雰囲気が残っていますね。

旧街道沿いに大きな杉玉、ここは江戸時代から続く老舗の造り酒屋です。「徳山鮓」では食事に合わせて、こちらの酒「七本鎗」を出されています。

結構いろんな種類の酒がありますね。店の人にお話を聞きながら選んで、お土産に純米生原酒、微発泡酒など数種類を購入して保冷パックに入れて持ち帰りました。

冨田酒造 滋賀県長浜市木之本町木之本1107
www.7yari.co.jp


こちらも旧街道沿いにある「つるやパン」です。

ここでのお目当ては、この"サラダパン"です。TVのケンミンショーで紹介されて、一気に有名になりましたね。この店創業以来59年目のロングセラーだそうです。毎朝10時に販売開始ということで、その時間に合わせて訪れました。

長細いコッペパンを二つ割りにして、その中に細かく刻んだ沢庵漬けとマヨネーズソースが挟んであります。パンに沢庵?全然ミスマッチに思えますが、沢庵のシャリシャリした歯応えが心地よくて、これが意外にハイカラな味。"サラダ"という名前の由来は、この食感とマヨネーズ味からくるのではないかな。

つるやパン本店 滋賀県長浜市木之本町木之本1105
www.tsuruyapan.jp