E級日記

もんがぁ のE級的生活の記録です

瓢亭の朝粥

今回の旅行の目玉は、何と言っても瓢亭で朝粥を食べたことです。瓢亭は創業400年、日本の懐石料理の最高峰のひとつと言ってもよい店ですね。ここの朝粥はとても有名で、私もいつかは食べてみたい、、と思っていました。今回それが図らずも成就したわけで、ホントに嬉しかったですね。
こういう店ですから、とても敷居が高いように感じていたのですが、旅行の数日前に電話をかけると、あっさりと予約が取れてしまいました。朝粥は8:00/9:00/10:00/11:00の時間で予約ができるとのことで、私たちは8:00にしました。

瓢亭は南禅寺の傍の閑静な場所にあります。本館(写真上)は昔ながらの建物ですが、こちらで朝粥が食べられるのは7月〜8月の間だけ。今回私たちはその横にある別館(写真下)で食べることになります。
8:00前に着くと、既に店の前は掃き清められていて、「さあどうぞ」と、店に招き入れられました。

別館のほうは座敷ではなくてテーブル席が20卓ほど。席に案内されると、まずは梅茶が供されます。平日の8:00ということで客は多くはありません。落ち着いた部屋で、ガラス戸越しに中庭を眺めることができます。しばらくすると、まずはお料理が運ばれてきました。皿盛りの八寸には名物の瓢亭玉子など。瓢箪型の三段重ね鉢には炊き合わせ、酢の物など。ホントに奇麗です。

仲居さんに「おかいさんを炊いておりますので、まずはお始め下さい」と言われて、料理に手を付けました。どの料理も季節感のある食材を使ってすっきりとした純な味わいで、さすが、、というところです。瓢亭玉子の味付けは薄口醤油だけとのことですが、作り方は企業秘密とのこと。黄身の旨味が濃厚で美味しいですね。

30分ほどかけてゆっくりとお料理を頂いて、落ち着いた頃を見計らって、「おかいさんが炊けましたので、お持ちいたしましょう」と仲居さんが言って来られました。いよいよ、お粥の登場です、、

出てきたのはお粥の入ったお櫃、葛餡が入った片口、それに香の物です。お粥は熱々で米の良い香りがしますね。瓢亭のお粥は餡をかけて食べるのですが、、この餡が凄いです。家内があるところで聞いた話では、ダシの材料は昆布、鰹節、鮪節。昆布は利尻産で5年寝かしたもの。鰹節と鮪節は本枯節で半々の割合で使うそうです。ダシをとる時は温度(温度計で計る)と時間を厳密に管理して、とても気を使ってとるとのこと、、これは美味しいわけです。
このダシをふんだんに使った吉野葛の餡は、旨味が濃いのですが決して魚臭くはなくて、むしろすっきりとした味わいでした。う〜んこれは唸るしかないです。どろっとしたお粥の上にどろっとした餡をかける、、なんと狡猾な知恵、、こういう念の入った仕掛けは京都人ならではですね。

瓢亭で懐石料理を食べると最低でも2万円からということになりますが、この朝粥は4,500円です(冬場はウズラ粥になります)。朝飯に4,500円ということですから、高いと思うか安いと思うかは人によって違うと思いますが、私ははっきりと安いと思いました。このお店、決して敷居は高くないので、京都を訪れる機会があれば、是非とも行ってみて下さい。決して損はないと思います。

瓢亭 京都市左京区南禅寺草川町35